掲載日:2008.2.18

モバイル技術の発展により、企業メールを取り巻く環境が変わったが・・・

メールは、いまやビジネスコミュニケーションツールとして、電話やFAXと並んで日常的に使われるようになりました。しかし、ここ最近では、企業と電子メールを取り巻く環境はさらに大きく変化しています。その変化の原動力となっているのが、モバイル機器の発達です。

携帯メールのサービスが始まったのは、1996年。さらに1998年にはキャリア間のメールも可能となり、携帯メールは爆発的に普及しました。そのため、この10年ほどの間にビジネススタイルは大きく変わり、今や携帯電話なしに仕事をすることは困難になっています。

こうした状況を踏まえると、ビジネスマンが外出先から携帯で会社のメールをチェックしたいと思うことは当然で、その要望に応えるために、以前は会社に送られたメールを各自の携帯に転送するという手段がよく使われていました。しかし、この方法は、携帯に会社のメールを保存し続けることとなり、個人情報漏えいにつながる可能性もあるため、セキュリティの観点から好ましくありません。

利便性とセキュリティの関係
図1 : 利便性とセキュリティの関係

Webメールが利便性とセキュリティのトレードオフを改善する

個人情報の漏えいがクローズアップされるようになったのは、ジャパネットたかたやYahoo!BBといった知名度の高い企業による漏えいの発覚や、Winnyによる漏えいが後を絶たず、Winny作者が逮捕されるという事件にまで発展したことなどが挙げられます。そのため、2005年4月1日には個人情報保護法が施行され、個人情報に関する取り扱いを会社組織として対応しなければならなくなりました。

そこで、各社はメールコンプライアンス対策としてメールアーカイブやフィルタリングなどを導入していますが、利便性とセキュリティのトレードオフを解消するためのツールとして、今Webメールが注目を浴びています。

Webメールでは、メールだけではなく、アドレス帳など全てのデータをサーバ上で管理するため、前述の外部からモバイルでメールを送受信しても端末自体にデータは残りません。また、Outllokなどのクライアントメーラーのように、HTMLメールやファイルを自動的に表示することもありませんので、メールを媒介とするウイルスにも感染しにくいという特徴があります。

Webメールにより、利便性とセキュリティのトレードオフを解消
図2 : Webメールにより、利便性とセキュリティのトレードオフを解消

メールに必要なプロトコル

メールの送受信するのに欠かせないプロトコル。そのうち、SMTPはメールを配送するためのプロトコルで、普段あまりユーザが意識することの少ない裏方役です。これとは別に、メールを受信するためのプロトコルにPOPとIMAPがあります。この2つはユーザとメールサーバを繋ぐパイプ役を務めていて、メールの受信や作成など何らかの作業をするさいに必要となるプロトコルです。役割は同じですが、POPとIMAPでは機能が全く異なります。

POP3(Post Office Protocol - Version 3)

SMTPによってメールサーバに送信されたメールを、ローカルクライアントにダウンロードするためのプロトコルです。通常使っているメールソフトは、ほぼ100%このPOP3に対応しています。

【メリット】
・体系がシンプルで、実装しやすい。処理負荷も低い。
・サーバアクセスはメールを取り込むときだけである。

【デメリット】
・暗号化されていないので、セキュリティが不安。
・個々のローカルマシンでしかメールの管理はできない。

こうしたセキュリティデメリットを解消するために、「APOP」「POP3s」があります。「APOP」は、「ハッシュ」を使って暗号化しているので、本人確認は安全にできるものの、メール一覧やメール本文の読み出しは盗聴される可能性があります。2007年4月19日、(独)情報処理推進機構セキュリティセンターはAPOP方式における脆弱性について注意を喚起しています。

「APOP方式におけるセキュリティ上の弱点(脆弱性)の注意喚起について」
http://www.ipa.go.jp/security/vuln/200704_APOP.html

「POP3s」は通信内容をTLS/SSLで暗号化してやりとりしますので、一番安全度が高い。また通信相手を特定することもできるので、なりすまし防止にもなります。

IMAP4(Internet Message Access Protocol Version 4 revision 1)

基本的にPOPはMTAにメールを取りに行くというコンセプトに基づいて設計されていますので、複数場所からのアクセスを想定していません。新着メッセージをダウンロードしないという設定も可能ですが、サーバ上でメールを管理して、あれこれ処理をすることは不得手です。そこで、こうしたPOPのデメリットを改良して考案されたのがIMAPです。現在バージョンが反映され、通常「IMAP4」と呼ばれています。IMAPには、フォルダの作成やフラグの管理などサーバ上でメールボックスの操作をするためのコマンドが用意されています。

【メリット】
・ユーザ間におけるメールボックスの共有や、メッセージの一部を取得する機能、同期処理のための情報提供といった機能がある。
・モバイル環境との親和性が高い。

【デメリット】
・サーバへの負荷が高い。
・メールを全てサーバ側で管理するため、ディスク容量が必要。

「Ajax」によって始まったWebメールの下克上

企業におけるWebメールの導入が一般的でなかった時代、Webメールといえば、Yahoo!メールやHotmailなど、ISPやポータルを運営している会社が提供しているフリーメールを意味していました。クライアント先で仕事をすることの多い開発会社のシステムエンジニアやプログラマーは、自社とのメールのやりとりに、フリーメールのWebメール利用することもありました。

このフリーメールの利用には、「社内情報を他社のサーバに預けてもいいのか!」と反対する声も多く、既に携帯メールは普及していましたが、当時のものでは修正ファイルやドキュメントを添付できず、有償のWebメールの導入が求められるようになりました。しかし、実際には、操作性も機能もWebメールよりクライアントメーラーの方が遥かに優れていたため、Webメールはあくまでも補助的な役割として扱われていました。

その後、情勢に変化が訪れます。それはブラウザやプラグインソフトの進化と共に、ブラウザ上で動作するアプリケーションを構築するための技術も様変わりしているからです。特に「Ajax」と呼ばれるリッチクライアントの作成技術は、Webメール業界にとっては大きな追い風となっており、「Ajax」を導入している各社は「クライアントメーラーと遜色ない操作性」を1つのウリにしています。

Ajax(Asynchronous JavaScript + CSS + DOM +XMLHttpRequest)

2005年2月18日、Jesse James Garrett氏が自身のブログにおいて「Ajax:a new approach to web applications」という記事を公開したのが始まりとされ、Google MapsやGoogle Suggest で利用されました。Ajaxは、その名が示すとおり、XHTMLとCSSという標準技術をベースに、DOM(Document Object Model)を使って動的な表示をし、XMLHttpRequestという方法で非同期にデータのやりとりを行います。そして、JavaScriptを使うことで、これらの技術をリアルタイムに動作させています。

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