イベント特集

ビジネスコミュニケーションを変えたメールの「ログ」特性

ビジネスコミュニケーションを変えたメールの「ログ」特性 昨今、ビジネスコミュニケーションのインフラとなった電子メールですが、なぜここまで普及したのだろうか。使い方によっては、プラスにもマイナスにもなるメールの特性と管理方法について、「RSA Conference Japan 2008」実行委員長である安延氏に大いに語って頂いた。

掲載日 : 2008.4.4

安延氏

RSA Conference Japan 2008 実行委員長
フューチャーアーキテクト株式会社
代表取締役社長
財団法人国際IT財団 副理事長
安延 申 氏

諸刃の剣、メールの「ログ」

-  なぜビジネスコミュニケーションにおいてメールが使われているのでしょうか?

[安延氏]
デジタル媒体を活用するコミュニケーション手法には、様々なものが出てきていますが、その中心はあくまでもメールであると思っています。なぜかといいますと、One to Oneの世界で、メールの利便性に勝るツールが、現段階では、まだ出てきていないからです。

一方で、メールの特性を十分に理解した使い方が、まだされていないような気がします。メールコミュニケーションの最大の特徴は、いい意味でも悪い意味でも「記録=ログ」が残るということです。このご時世、ほとんどの会社が一定期間メールの「ログ」を残していて、その会社のセキュリティやコンプライアンス担当者はそのデータへのアクセス権限を持っているというのが一般的でます。つまり、ビジネスにおいては、メールはプライベートではないということです。その点を認識した上でメールを使えば、個人にとっても会社にとっても非常に有効なのですが、それを知らずに使うとみっともない結果になることがあります。

私は、「ログ」が残るという特性を活かして、言った言わないの議論が起きそうな時には、あえてメールを使うようにしています。いざそのような状態になったとしても、証拠として見せることができますから。つまり、メールは、簡易な電子公証付のコミュニケーションツールともいえるわけです。

例えば、ライブドア事件であれ、村上ファンド事件であれ、企業が絡む最近の事件については、検察はメールサーバを急いで押さえます。そうすると、メールの送受信ができなくなって、みなさん大体仕事ができなくなります(笑)。逆にいうと、そこにあるデータは、それ程貴重なものだということです。昔は、検察の捜査というとダンボール箱一杯の資料を運び出す画面がよく使われていましたし、いまでもTV向けには、同じような絵が使われますが、実際には、まず入ってきてサーバ押さえ、改ざんされないように回収し、解析後に事情徴収をするといったことが非常に優先され、重視されてきています。

口頭によるコミュニケーションでは、ちゃんと内容を伝えたつもりでも、曖昧さが残りますし、相手も忘れてしまう可能性があります。実際、誰でも、重要かつ微妙なビジネス交渉で「言った言わない」で苦労された経験の一度や二度はあると思います。メールで「この件はちゃんとお伝えしましたよ」と内容を履歴として残しておけば、このような問題も回避改善することができます。メールは、個人のコミュニケーションツールとして発達してきたのですが、「ログ」が残るという特性を考えますと、プライベートよりビジネスコミュニケーションの方が向いているのかもしれませんね。

また、セキュリティや企業秘密にも関係しますので、必ずしもプラスになるわけではありませんが、メールには「情報を整理できる」という特性もあります。メールであれば、は時系列に沿った情報整理を簡便に短時間で行うことができますから。

ただ、最近、かなりの会社で、メールは全てWebメールを使い、ファイルを保存できないような設定にしていたり、保存できるメール量に制限をかけているところも少なくありません。これは、情報の持ち出し等を制限するためと考えられますが、こうなってくると、メールデータの整理と保存に関して、セキュリティと利便性のせめぎ合いをどう整理していくかということが重要になってくると思います。

「リアルタイム性のなさ」を活用する

安延氏

-  遠隔コミュニケーション手段としては、メールと電話どちらを多用しますか?

[安延氏]
私の場合、「リアルタイム性のなさ」を活かし、電話よりも圧倒的にメールを使います。例えば、私がAさんとコミュニケーションを取ろうとして、3日後の打ち合わせ時間を電話で相談しようとした時に、Aさんはお客様のところで重要な打合せをしていたため、電話に出られませんでした。私は出張ですぐに飛行機に乗って外国に行ってしまうため、その後十数時間は電話でコミュニケーションすることができなくなります。こうしたの場合、メールでの連絡であれば、Aさんは時間の余裕ができた時に、打ち合わせ時間の相談に対応することができます。

忙しい人がメールを利用する場合、ざっと全体をプレビューして緊急性や重要性を判断し、本当に必要なもののみすぐに返信します。それ以外は、夜もしくは翌日に対応することになりますが、私達は無意識のうちにこのような判断を行っているのです。これが口頭のコミュニケーションですと、完全にリアルタイムですから無理ですよね。

私はビジネスにおいて、携帯電話にかかってくる電話が嫌いです。直接会うかメールが主なコミュニケーション手段です。なぜかといいますと、本当に大事な人、重要な話は、やはり Face to Face で話したいと思うのが普通ですよね。ところがそうした話し合いの途中にもかかわらず、携帯に電話がかかってくると、相手の人が携帯電話で話し出す場合がある。わざわざアポを取って訪問している人よりも電話を優先し、その人の貴重な時間に他人と携帯で話すのはよろしくないと思います。そういう意味ではメールはいいですよね。後で読めばいいわけですから。それにメールであれば、打ち合わせ中に携帯でさっと確認しても、それ程不快感を与えません。緊急でなければ後で返信すればいいですし、事故などが発生した時は一言了承を得て、外で電話をすればいいわけですから。

この「リアルタイム性のなさ」によって、時間的な優劣を受信者が自主的に判別できるというのは、メリットだと思いますね。

1 | 2   次のページ>

-PR-

  • Email Security Expo & Conference 2008 連動企画特集
  • 誤送信防止特集
  • Webメール製品検証レポート概要
  • スパム対策製品検証レポート概要
  • メールコンプライアンス特集